第29話  紺屋の白袴じゃダメですね
                    〜  美顔治療  〜
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「先生のお肌の透明感がやっぱり違うので、美顔治療を、
受けてみようかな・・・」と、嬉しいことを言ってくださる彼女は、
60代半ばの、童顔で実年齢よりも若く見える女性です。
普段は、肩凝りの治療で来ているのですが、
当クリニックで行う、本来の治療プラス10分のクイック美顔治療を、
今日はやってみたいとのこと。

美顔治療のフルコースは、メーク落としから始まって、
治療後のパックから仕上げまでという、時間を要するものですが、
「美顔治療」のページでもご紹介しているように、
クイック美顔はお顔にピンポイントで極細の鍼を施し、
マイクロカレント(超微弱電流)によるマッサージを行うという、
お手軽な治療なので、大変ご好評をいただいています。

「先生は、これを毎日自分でされてるんですか?」と、
治療を受けながら真顔で尋ねる彼女に、私は正直に、
「毎日なんてとんでもない!自分のことはほったらかしです(笑)」
私もいい歳ですし、日々、下を向いて治療し続ける仕事なので、
重力のパワーに逆らうのはなかなか厳しいものがありますから、
本当は毎日きちんと自分のケアもするべきなのでしょうが・・・
最近の美顔治療などを行っている若い鍼灸師の女性達は、
自分の「美」に対しても妥協を許さず、徹底的にケアしているのか、
女優さんの様に美しい方が多いようですが、
どうも私は、自分に対してはまことにずぼらなもので・・・

料理でも、家族のためなら、どんなに忙しくても疲れていても、
できるだけ栄養バランスや彩りを考え、できるだけ品数も作るのですが、
自分一人の時は、甚だしくいい加減になってしまうのです・・・(>_<)

「そういうのを、『紺屋の白袴』っていうんですよね。私もそうだから、
先生が言われるのはすごく解ります。」
彼女は60歳までお掃除会社に勤め、多くの家庭のお掃除をしてきました。
「ピカピカにして喜ばれるのが嬉しくて・・・でも、うちに帰ると、
もう何もしたくなくなるんです。よく主人に、他所の家ばぁ綺麗にして、
自分とこはなんじゃこりゃあ、と怒られました。」

クイック美顔を始めて5回目の来院の時、彼女の声は弾んでいました。
「先生、西宮に居る娘がこないだ、3カ月ぶりくらいに帰ってきて、
お母さんどしたん?なんか肌が綺麗になってるし、
顔がすっきりしてるって言うんです。やっぱり違うんですね!」
「よかったね!やっぱりやったらやっただけの結果は必ず出ますよ。」

私も、これからはもうちょっと真面目に自分のケアもしなければ!
女優さんの様になるのは到底無理に決まっていますが、
注射したり引っ張ったり整形したりという人工的な美ではなく、
あくまでもナチュラルなアンチエージングを、
患者さまにも提供し、自分でも目指していきたいと思っています。

                              (’15.9)


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