令和元年も、残り少なくなってきました。
今年は皆さんにとって、どんな年だったでしょうか?
天皇陛下の御代替わりや、ラグビーに沸いた熱い年だったし、
リチウムイオン電池開発でノーベル賞を受賞した吉野さんを、
誇りに思えた素晴らしい年でしたね。
一方で、第16話にも書いたように、自然災害を招く環境政策に、
世界中が大きな課題を突きつけられた年でもあり、
国内では相次ぐ凶悪事件に不安を抱く年でもありました。
ともあれ、来年は平穏な年になってほしいものです。
ところで、最近、お寺の除夜の鐘がうるさいという苦情が多く、
自粛して鳴らすのをやめたり、「徐夕の鐘」に替えたりしているお寺が、
全国に結構あるという話題を知りました。
私の自宅から歩いて10分程の所にも、
曹源寺という岡山藩主だった池田家の菩提寺があって、
毎年、除夜の鐘が厳かに聞こえてきます。
年末年始のしみじみとした趣に浸るこのひとときが、
私は好きなのですが、それが苦痛という人もおられるのですね。
確かに至近距離だと地響きのように体に感じるのでしょうし、
参加する大勢の方たちが次々に鐘を鳴らすので、
時にはバカの様な轟音を立てることもあるのかもしれません。
年に1回のことなのに、とか、長い歴史のある伝統的な行事なのに、
などという批判もあるし、苦痛に感じる人を無視していいのか?との
意見もあるし、非常に難しい問題ですね・・・
先日、当クリニックに来られた若い患者さんから、
物心ついた時から、家でおせち料理を食べたことがないという話を、
聞きました。
子どもの頃お正月におばあちゃんちに行った時や、
成長してから他所のお宅では食べたことがあるけど、
お母さんが好きではないのか、作る事も買うこともなく育ったと。
なので、元旦も普通のご飯が食卓に並ぶのだとか。
まあ、そういうご家庭もあるのだろうなと思いながら、
彼女がやはり一家揃って食べるおせち料理に、
ちょっぴり憧れを抱いているのを感じました。
日本も国際化が進み、日本の伝統的な文化以外に、
世界中の多種多様な文化に触れる機会が圧倒的に増え、
自分の好みに応じて、日本的なものにこだわらず、
さまざまな文化を取り入れることができるいい時代になりました。
食べ物ひとつとっても、多国籍料理がいつでも食べられますし、
服装も自由で、その分、着物を着る習慣がめっきり減っています。
倉敷の美観地区でも、着物を着て歩いているのは外国人の方が多いし、
盆栽や陶芸、西陣織などの伝統芸能の世界に弟子入りする日本人が減り、
寧ろ外国人が増えているというのもよく耳にします。
多様性の時代を充分楽しみながら、一方では、やはり日本古来の伝統も、
上手に折り合いをつけながら大切に守っていきたいものです。
私は、古い!と言われても、おせちの用意をしながら紅白を見て、
曹源寺の除夜の鐘を聞きながら「行く年来る年」に思いを馳せたいと
思っています。
でも、着物は、本当は着たいのですが着ないので残念なのですが・・・
皆さまも、良いお年をお迎えください。
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