人類の歴史が始まって以来、現代ほど、眼を酷使している時代は、
ありませんね。
本や書類、TVに、パソコン、スマホ・・・現代人の眼は、眠っている時以外、
一日中常に何かをめまぐるしく見つめています。
電車やバスの中でも、本や漫画を読んでいる人も勿論いましたが、
一昔前には、窓の外の景色をぼんやり眺めて季節を感じたり、
眼をつぶって考え事をしているうちにいつのまにか居眠りしちゃったり、
或いは、さりげなく周囲の人間ウオッチングをしたり・・・
乗り物で移動している時間は、しばしの休息とイマジネーションを膨らます、
貴重なひと時だったように思います。
しかし、今は、電車やバスの中は勿論、信号待ちや人との待ち合わせなど、
ちょっとした待ち時間でも、皆、スマホを見ています。
駅のホームでズラ〜ッと並んでいる人たちが一斉にスマホを見ている・・・
ちょっと異様な光景に見えます。
これでは、眼が疲れないはずはありませんよね。
スマホなどを見ている時、眼はどうなっているんでしょうか?
カメラのレンズの役目をしている水晶体に毛様体筋という筋肉が付着し、
この筋肉が、水晶体を薄くしたり厚くしたりしてピント調整をしています。
近くを見るときは、毛様体筋が収縮して水晶体を厚くし、
遠くを見るときは、反対に、薄くしています。
従って、至近距離を見るのが長時間に及ぶと、収縮しっぱなしで、
長時間懸垂をしたりした後の腕と同じように筋肉が萎えてしまいます。
また、加齢によって老眼になると、毛様体筋は、
若いときほどスムーズにできない調節を一生懸命にしようとして、
疲労困憊してしまうのです。
友人の紹介で来院した彼は、「M から最初、肩や腰に鍼をいっぱい刺して、
爆睡するって聞いたとき、ウソッ鍼刺したまま眠れるん!?マジで?
ちょっとおかしいんじゃね?感覚にぶ過ぎじゃろ?って言ったんだけど。
僕は、本当のところ、鍼はめっちゃ怖いんですよ〜」
でも、一日中、パソコンを見る仕事の上、
ひっきりなしに連絡メールが入るスマホは、今も幾度となくキン、コンと、
トライアングルの様な音が・・・
「眼の奥に鈍痛がして、ひどくなると頭痛や吐き気がするんで、
怖いとも言ってられなくて・・・眼科では眼精疲労ですと言われて、
眼薬はもらったんですけど。」
「鍼が怖い」と、身体を固く緊張させて構えている患者さんを、
初めて治療する時は、できるだけ雑談でリラックスさせながら行いますが、
触診にすらも、ビクビクされると、なかなかやりにくいものです(笑)
でも、どんなに固まっていた患者さんも治療を進めて行くうちに、
次第にリラックスしてき始めるので、面白いものです。
彼も、頸や肩の治療中は、全神経を研ぎ澄ましている感じだったのですが、
こめかみやおでこに気持ちの良い温度の温灸をして、
眼の周りに、美顔用の超極細鍼を刺してしばらくそのままにしているうちに、
軽いイビキをかき始めました。
あんなに怖がっていたのに、初めての治療で眠れるというのは、
それだけ疲れていて、文字通り「ツボにはまって」、交感神経の緊張が緩み、
心身がリラックスした証拠です。
自分のイビキで眼が覚めて、「うわぁ〜今、眠てました?信じられん!」
治療後、「なんか、視界がすごく拡がった感じです。頭もスッキリしたし。」
美顔治療でもそうなんですが、頸や顔の治療をすると、
むくみが退いて小顔になり、リフトアップして眼がぱっちりと大きくなって、
男性でも、女性でも、眼鼻立ちがクッキリします。
鏡を見て、「本当だ!眼が大きい!」と、御機嫌で帰っていきました。
忙しくても、月に1回か2週間に1回ほどは来院して、
数回で、「吐き気はすっかり無くなり、頭痛もたまに軽くするくらいです。」
「Mに、俺、最初っから爆睡したわって言ったら、
さすがに最初の日は眠れんかったのに、おまえすごいなって笑われました。
眼が疲れてる時に寝れる治療を受けるっていいですね。」
眼を酷使する仕事をしている以上、セルフメンテナンスが必要です。
できるだけ、パソコンを見ている時間の合間に休憩を挟んで、
頸や肩のストレッチをしたり、ぼんやりと遠くの景色を眺めたり、
眼の周辺のツボ押しをしたり、熱いおしぼりタオルを眼の上に載せたり・・・
と、いうアドバイスをして、「爆睡したくなったら、いつでもどうぞ。」
それからというもの、数か月に1度ほど、予約の電話が入り、
瞼が重そうな様子で来院し、治療中は爆睡して、
「眼が大きくなった!」と、リフレッシュして帰っていく・・・事が続き、
ある日、10年近く連れ添っている妻に、待望の赤ちゃんができたと、
めでたい報告がありました。
赤ちゃんが生まれたら、眼を大きく、大きくぱっちり見開いて、
「はじめまして!僕がパパでちゅよ〜!」と、自己紹介しなくちゃね!!
(’16.9)
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