第9話   くり返す 本文へジャンプ
ウクライナ情勢が混沌として先が全く見通せないまま無為な時間が
経過していくばかりのこのタイミングで、また、紛争が勃発してしまい
ましたね。
 
パレスチナ地域は、長い歴史の中で、ひとつの領土をめぐって
泥沼の争いを繰り返し、その土地を手に入れようとする大国の思惑に
翻弄され、その上さらにアラブ教、キリスト教、イスラム教といった、
宗教問題も絡み合い、常に不安定な状況が続いていました。
日本でノホホンと過ごしている私たちの感覚では到底理解しがたい、
壮絶な憎悪にまみれた修復しがたい関係から噴出してくる紛争。
ウクライナ情勢と同様、解決の糸口が見つかりそうにありません。

世界各国も、コロナのパンデミックから漸く立ち直りつつあっても、
世界的な不況や、国連のグテ―レス事務総長をして「地球沸騰化」と
言わしめた環境問題を抱え、どの国も喘いでいるこのタイミングで、
援助に継ぐ援助が果たしてどこまで可能なのか・・・

しかし、紛争も戦争も、常に犠牲になるのは罪もない一般人。
今回は、ハマスによって人質となったイスラエル人にも、
激しい攻撃を受けたガザ地区にも、子どもたちが多く、
血まみれになって「ママ!ママ!」と泣き叫ぶ子どもたちの映像は、
見るに堪えません。

高校時代に世界史を勉強しながら、人類の歴史って結局、戦争の
歴史だよなと思った記憶があるのですが、動物の縄張り争い同様、
人間の性で、如何ともしがたいものなのでしょうか??

10月末に、私が趣味で所属している合唱団の定期演奏会があり、
第1ステージで、谷川俊太郎作詩、松下耕作曲の、「信じる」という
曲を歌うのですが、2番目に「くり返す」という曲があります。
これは、戦争に対する谷川俊太郎さんの深くやるせない憤りが
込められています。
指揮者からは、「映像を思い浮かべて怒りを込めて歌いましょう」
と指示がありました。
「人の命は大事だとくり返そう」と会場のお客様と思いを共有する事
しかできませんが、心を込めて歌おうと思っています。
当クリニックの患者さんも沢山来てくださりありがとうございます。

  
 くり返す             谷川俊太郎

 くり返すことができる

 あやまちをくり返すことができる
 くり返すことができる
 後悔をくり返すことができる
 だがくり返すことはできない
 人の命をくり返すことはできない
 けれどくり返さねばならない
 人の命は大事だとくり返さねばならない
 命はくり返せないとくり返さねばならない
 私たちはくり返すことができる
 他人の死なら
 私たちはくり返すことはできない
 自分の死を



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