第2話 “きょういく”と“きょうよう”を取り戻そう 本文へジャンプ
コロナ禍になる前のことです。
ある患者さんが、何かの講演会で聞いた言葉を「座右の銘」にしていると、
教えてくださいました。
年を取ると、“きょういく”と、“きょうよう”が大事。「今日、行くとこがある」
と「今日、用がある」の二つだと。どこへも行かず何も用事をしないでいると、
老化をすすめてしまうのだと。

「なるほど。そのとおりですね」と、私も深く納得しました。
でも、これは、何も老人だけに限らず、若い人にも通用することですよね。

コロナ禍のまっただ中で、我々は皆、この“きょういく”と、“きょうよう”を、
奪われてしまいました。

不要不急の外出を禁じられ、ステイホームを余儀なくされました。
結果、年配の人達には、運動不足によるフレイル(心身の虚弱)や
認知症の傾向、若い人達には鬱や自律神経失調傾向が多く見られるように
なってしまいました。
人間は動物ですから、動かせるところはしっかり動かさないといけません。
東洋医学的観点からも、エネルギーを発散しなければ内部に鬱屈し、
気の流れが滞るとさまざまな病気を引き起こし、新たなエネルギーを、
産み出しにくくなります。

コロナ禍が始まって、今年で足掛け4年目になりますが、ようやく長かった、
トンネルの出口が見えてきました。
無論、決してまだまだ油断はできません。
国の指針で、3月13日からマスク着用は個人の判断に任され、5月8日から、
現在の2類相当から5類に落とされるとはいえ、コロナが消滅したわけでは
ない以上、ここですっかりタガが外れてしまうわけにはいきません。
が、少しづつ様子を見ながら、封印されていた日常生活を戻していく段階に、
シフトしていかねばなりません。

治療室の窓から差し込む光が、もう春の装いを纏っています。
“きょういく”と、“きょうよう”を取り戻して、徐々に活動を開始しましょう。

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