第31話  至福の時   
          
〜 耳鳴り 〜
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季節はずれの蝉の鳴き声に悩まされていると来院したのは、
仕事に子育てに毎日奔走している元気ママさんです。
蝉の鳴き声がしているのは、彼女の耳の中。
「夜静かになると、ジーっという音が気になってうっとおしいし、
日中でも、突然大きな音になって聞こえも悪くなる時があるんです。
耳鼻科では、聴力も少し落ちているし耳鳴りは治らないよって言われて。」

耳鳴りは、脳や聴神経になんらかの異常があったり、
糖尿病や高血圧などの全身疾患から来るもの、
また、メニエール病や突発性難聴などの内耳の疾患によるもの、
これらを除けば原因不明のものが多いのですが、
肩凝りや睡眠不足、眼精疲労、ストレスなどによる自律神経の乱れ、
内耳の血行不良から発症している事が多いと考えられます。
自律神経の乱れ、血行不良と言えば、鍼灸治療ですね。

彼女も、一日中パソコンに向かっている仕事を終えて帰ったら、
夕飯や片付けなどでベッドに入るのは1時過ぎ。
朝は、部活の朝練に行く高校性の息子のお弁当を作るため、
5時半起き・・・という生活。
上記の、肩凝り、睡眠不足、眼精疲労、ストレスが全部揃っています。

当クリニックに来院される患者さんは、大きく2タイプに分かれます。
無論、治療による身体の不調の改善は言うまでもありませんが、
ゆっくり時間をかけて治療するので、その間、日頃の鬱憤や、
悩みをどんどん話してスッキリして帰るタイプ。
そして、ひたすら爆睡してスッキリして帰るタイプ。

彼女は、初診の時から後者のタイプでした。
初診時は、やはり多少の緊張があるので爆睡は珍しいのですが、
余程、疲れている証拠です。
体位を変えてもらったり、温灸や低周波の確認をする時以外、
まったく意識不明状態です。
治療が終わった時、「わぁ〜なんか、至福の時でした〜」

翌週の来院時、耳鳴りの頻度が明らかに少なくなっているとのこと。
忙しくてなかなか来院できない彼女ですが、
4度目の治療を終えた頃には、「やっと蝉が鳴かなくなりました。
やれやれです。私の耳の中だけ夏が終わってなかったもんで。」

この種の耳鳴りは、これで再発しない場合と、

疲れたり肩凝りや睡眠不足などが続くと、再発する場合があります。
できるだけ睡眠をちゃんと確保して、ストレッチや運動で、
疲れを蓄積させないことが大切です。
そして、時には「至福の時」に浸りながら鍼灸治療を受けること。
これが、一番のおすすめですね!!
                             (’15.11)

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