ハイヒールにスリムなスーツ・・・
仕事のできる女性の典型的なスタイルですね。
ハイヒールを履くと、当然、背は高く足は長く、
ふくらはぎからヒップのラインがシャキッとして、、
コツコツと靴音を鳴らして歩く姿は、本当に美しいものです。
このハイヒールが足にとって決して良くないことは知っていながらも、
自分の理想のスタイルに必要なアイテムから決してはずせない辛さ・・・
女性はこういう葛藤が多くて大変ですよね。
彼女が、外資系の会社の秘書としてスーツにハイヒールで闊歩していたのは、
日本が隆盛を誇っていた頃でした。
今でこそそんな女性は珍しくありませんが、
秘書として上司をバックアップし、アメリカなど海外から来日する関係者の、
おもてなしやプランのプロデュースなど、
頼りになるハンサムウーマンとして、当時は貴重な存在だったことでしょう。
そんな彼女も、人生の山坂を乗り越えて、3年前故郷の岡山に帰って以来、
コーラスに生け花、堪能な語学を活かしてのボランティア、
幼な友達との交流など、過去の多忙なエネルギッシュな時代を、
ゆっくりとクールダウンしていく、平和で穏やかな第2の人生を送っています。
当クリニックへは、肩凝りや膝関節痛で来院していますが、
ある日、手足口病にかかり、それが引き金になったのか、
左足中指の付け根の裏が痛くなって、病院で「モートン病」と診断されました。
若いころ傷めた古傷が基になり、加齢と共に何かのきっかけで、
病を発症するというのはよくあることです。
モートン病は、今まであまり一般には知られていない病気でしたが、
最近、次第に患者数が増え、注目され始めました。
モートン病は、ハイヒールなどの靴を履いてつま先立ちの状態が続く事で、
足指に連結している中足骨という骨同士をつなぐ靭帯と地面の間で、
神経が圧迫され続けて起きる障害です。
激しい痛みやしびれにより歩行困難な場合は手術を要しますが、
リスクを伴う為、矯正用インソールなどで様子を見る事が多いようです。
彼女の場合は、歩行困難という程ではありませんでしたが、
靴の中での指の当たり具合で、激痛が走る事もある為、
締め付けない靴を履くようにして、病院から出された薬を飲み始めました。
しかし、次第に中指の付け根以外に指先と隣の第4指の指先まで痛みだし、
「病院で、器具のような物を装着してみるかと言われたけど、
それを装着したら多少ロボットみたいに歩きにくくはなりますって言うんで、
断ったんですよ。ロボットみたいって、冗談じゃないって。」
そこで、またまた、当クリニックの「ついでのサービス治療」の始まりです。
指の付け根にまず温灸器のよるお灸をし、その後、刺さないタイプの鍼で、
治療。神経を栄養しているのは血液ですから、
血行を良くすることで、神経の痛みを緩和することができます。
来院と来院の間で、自宅でのお灸をすることと、5本指ソックスを履くことを、
勧めました。
5本指ソックスを履くことで、指1本1本が独立して着地することが重要です。
「そういえば、私、暑がりなのに昔から足の指と付け根だけが,
よく冷えてました。血行が悪かったんですね。」
次回の来院時、「あの日から痛みがちょっと楽になってきた感じです。
帰りに早速5本指ソックスを買って、お灸もきちんとして、
痛みが楽になってくるのが解ると続けようって気になりますね。」
次第に、指先の爪の付け根のみが痛いまでに改善し、
半年後には、中指の先がちょっと痺れるくらいで痛みはなくなってきました。
当初、温灸器の最高温度50度の熱を全く感じなかったのですが、
1年余り経った最近では、感じるようになり、
もう何か月もお薬をもらいに行ってないとか。
「今頃になって、テレビとかでよくモートン病のことをやりだして、
5本指ソックスがいいとか言ってるけど、私がなった時には、何それ?って、
感じでしたよね。」と苦笑いする余裕も。
「輝く女性」を一足先に体験した彼女は、最近ブームになり始めた病気も、
一足先に体験しちゃったというわけですね。
でも、ブーム病の先取りだけは、できればやめといた方がいいですね(笑)
(’16.3)
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