第40話   寒肥 本文へジャンプ
「あけましておめでとうございます。先生、今年もよろしくお願いします。
紅白の風君、3曲も歌ってすごかったですね!!最高でした!!」
来られる患者さんが次々に興奮気味に新年の挨拶をされた1月第1週から、
日を追うごとに、オミクロン感染者が全国的に拡がり、
まさに「あれよあれよという間に」日本列島全域を席巻してしまいました。
1歩先を行っていた欧米の様子に、本当に日本もあんなになるのだろうか?
と思っていましたが、流石に同じ轍を踏んでしまっています。
ただ、海外の国々が皆、急上昇でピークアウトを迎え、
その後急降下しているのを見て、3月頃には落ち着くのではという見立てを、
唱える専門家も多く、とにかくそれまではじっと我慢するしかないとのこと。
しかし、ステルスオミクロンとも呼ばれるオミクロンの亜種がすでに、
イギリスやデンマークなどで確認されており、日本でも空港検疫で、
早くも検出されているという情報もあります。
従来のオミクロンBA.1も感染力が強いのですが、亜種のBA.2は、さらに
その2倍の感染力という報告もあるようで、3月頃落ち着くだろうなんて、
甘い認識は、とんでもない事なのかもしれません。

第5波までは、当クリニックが直接コロナの脅威に晒される不運に
見舞われることはお蔭さまでなかったのですが、今回はやはり、
様子がかなり違っています。
自身が濃厚接触者になったので予約をキャンセルしますとか、
夫や子供が濃厚接触者になって自分もさらにその濃厚接触者になる
ので、慎重を期してキャンセルしますとか、
また、熱はないけど鼻水と咳が出るので症状がなくなるまで、
来院を見合わせますなど・・・
その後、いちいちお尋ねしてはいないので、その方たちが大丈夫なのか、
解りませんが、ご無事を願うばかりです。
少々構わないだろうとか、大丈夫だろうとか、世間には元々、コロナ禍を、
あまり深刻に受け止めないタイプの方も一定数おられますが、
うちの患者さんは皆さん、配慮してくださって本当にありがたいです。
現在のところ、陽性者の報告はありませんが、私も患者さんも、
いつ濃厚接触者になるか陽性者になるか・・・第5波の時よりも、
すぐそこに迫っている感は非常に強いです。
私は、3回目ブースター接種が終了しましたが、まだの方も多く、
重症化しないとはいえ接種しても感染する場合もあり、自分はともかく、
この非常事態でも来院してくださる患者さんを守らないといけないという、
責任感を改めて強く感じます。

毎年この時期、庭の花咲く樹木に寒肥を入れるのですが、
梅はすでに咲き、馥郁とした香りを当たり一面に漂わせてくれています。
「綺麗なお花と香りをありがとうねー、今年も梅の実をいっぱい付けてね。」
と言いながら、肥を入れていきます。
蕾が次第に大きくなり始めている沈丁花、花水木、
まだ蕾が小さい雪柳、さつき・・・
コロナ禍になって3度目の春がもうそこまで来ています。
人間たちが右往左往して一喜一憂しているのを、知ってか知らずか、
花たちは毎年時が来れば同じように咲き、何も変わらぬ美しい姿で、
私たちを癒してくれます。
しばし、庭に佇んで、心がほどけていくひと時をゆっくりと味わいました。
スマホゲームやネットフリックスでの気分転換もいいですが、
私は、こういう時間が大好きです。

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