第11話 ソチオリンピックとおっぱいの思い出
          〜母乳が出ない〜

本文へジャンプ


ソチオリンピックが終わり、なんだか寂しいなあと感じている方も
少なくないと思います。
日本人選手たちの活躍に元気をもらったり、困難を乗り越えての
最高のパフォーマンスに感動したり・・・メダルの色や数とは関係なく、いいオリンピックでしたね・・・
これから、まだパラリンピックが始まりますし、
サッカーのワールドカップまであと3カ月となり、
今年はスポーツを通してさまざまなドラマが味わえそうです。

第9話で紹介した妊婦さんは、「お産が怖い。」と言っていましたが、
その後、無事出産しました。
ふっくらとモチモチの両腕を、万歳の格好で寝ている我が子の姿が
可愛くてたまらないという、立派なお母さんになりました。
授乳の為に、深夜に数回起きなければいけないのが、
お母さんになっての最初の試練ですが、幸いなことに(?)、
ソチオリンピックがあったので、苦にならなかったそうです。
きっと、今後折に触れ、赤ちゃんにおっぱいをあげたことと、
ソチオリンピックとが常にセットになって思い出されることでしょう。

ところが、順調にいっていたはずだったのですが、
ある日訪れた彼女は、ひどく疲れた様子で、元気がありません。
「主人が、酔っ払って帰る途中で、用水に落ちたって,
携帯にかかってきて、深夜に迎えに行ったりして・・・
びっくりしたからか、おっぱいが止まってしまったんです。」
確かに、授乳まっさかりのおっぱいにしては、
ちょっと元気がありません。
「それで、御主人は?」
「手足をちょっと擦りむいた程度でよかったんだけど、お風呂で洗っても身体中が当分泥臭くて・・・。」
ご主人に大した怪我も無く良かったとはいえ、
大事なおっぱいが止まってしまっては、いけませんね・・・

おっぱいの基は、血液ですから、食べ物や体調の影響は勿論、
ストレスの影響もとても大きく、ショックな事があったり、緊張したり、怒ったりすると、てきめんに出なくなります。
でも、大丈夫!!
おっぱいの基は血液だからこそ、鍼灸治療の出番です。
乳腺をソフトに刺激するように、温灸器による気持ち良い温度の
お灸と、極細の鍼とで治療すると、「わあ、もう張ってきた!鍼って
すごいですねえ。」
母乳の出をよくする為に、乳房マッサージという手もありますが、
私も経験があるけれど、これは相当痛いものです。
自分で鍼をして、短時間の治療で痛くなく、即効を体験したのは、
もう随分と昔の事ですが(笑)
「鍼を刺す方が痛いんじゃないの?」と思う方、だまされたと思って、
是非、お試しください。

ともあれ、せっかく、ソチオリンピックと授乳がセットになって、
いい思い出になりそうだったのに、
お父さんが酔っ払って用水路にはまった事まで、セットに加わって、
一生語り続けられることになりそうですね・・・

世のお父様方、酔っ払ってのお帰りにはくれぐれもご注意を・・・
                           
 (’14.3)

 治療室の小窓トップへ