現在、大学生の彼女は、幼稚園の先生を目指しています。
「子供が大好き!」と言うだけあって、
その笑顔には、人の心を癒し、ほっこりと包み込むような、
母性的な暖かさがあります。
でも、そんな彼女にも、思わず顔を歪めてしまうくらいの痛みに、
襲われる数日が、毎月、訪れます。
そう、女性なら、経験者は決して少なくない生理痛です。
「生理痛は中学生の頃からで、体育系の部活をしていた高校時代には、
多少紛れていたけど、大学に入ってからひどくなりました。」
生理周期はいつも正常なのですが、生理の1週間程前になると、
腰と下腹部が、「激痛でもがく」くらいの痛みに襲われ、
薬を飲んでもあまり効果が無いとのこと。
女性の体は、排卵すると黄体ホルモンが増加し、乳腺を発達させ、
体温を上げて、妊娠に備えます。
しかし、妊娠しなければ、プロスタグランジンという物質が子宮の収縮を促し、
子宮内に宿る命の為に用意した「お布団」のような内膜を血液と共に、
体外へ排泄します。これが生理なのです。
女性の体は、こういう謂わば、エレベーターで最上階まで上がっては、
急激に1階まで降りるというような、とてつもない変化を、
毎月行っているわけです。
男性には無い、アクロバティックなメカニズムです。
男性の皆さん、あなたのパートナーや、周囲の女性達が、
時々、情緒不安定だったり、意味不明だったりするのは、
こういうことが背景にあるかもしれないと、どうぞ、ご理解くださいね。
特に生理痛が無い女性であっても、少なからず心身に影響を受けますが、
生理痛がひどいとなると、どれだけ辛いか想像できますよね。
上記の、プロスタグランジンは、陣痛の時にも働く物質なので、
何らかの原因でその量が多いと、血管の収縮が激しくなり、
陣痛に近いような痛みが起きます。
胃腸を刺激して吐き気や下痢を起こす事もあります。
子宮内膜症や、子宮筋腫などの器質的な原因から起きているのであれば、
医療機関を受診してしかるべき治療を受けなければいけませんが、
身体の冷えやストレスからくる骨盤内のうっ血や、
自律神経の乱れ、黄体ホルモン、プロスタグランジンなどの分泌異常による、
生理痛は、鍼灸治療で改善します。
彼女が来院したのは、ちょうど生理が終わった後で、
やはり今回も生理痛がひどかったとのことでしたが、
「早く効果が出れば、次回の生理はもう楽になるからね。」と、
タイミングよく、大学の春休みを利用して、週1回のペースでの治療開始。
でも、診てみると、案の定、身体が冷えていました。
「2月に、幼稚園の研修で、1日中外に居たらめっちゃ寒くて、
身体が冷え切ってて、家に帰って体温測ったら、34℃しかなかったんですよ。
自分でもびっくりしました。」
本来、人間には、ホメオスタシス(恒常性)が備わっているので、
一時的にどんなに冷え込んでも、家に帰った頃には、
体温が正常に戻っていなければいけないのですが、
自律神経やホルモンなどの機能の低下傾向がある冷え性の方には、
よく見られることなのです。
肩凝りや腰痛も、多少あるので、軽く鍼治療しながら、
温灸器によるお灸で、身体の冷えを改善していく治療を中心に行うと、
「めっちゃ気持ちいいです。」とにっこり。
3度目の治療が済んで、いよいよ来週あたりに次の生理がやってくるという時、
「研修でグアムに行くんですよ〜現地の幼稚園を視察して、
園児たちと触れ合うんです。」
「すごいね〜!!最近は、国際的になってるんじゃね〜」
でも、生理用品を一式持って行かないといけません。
そう、女性にはこういう大変さもつきもの。
受験、試合、就活、結婚式、旅行・・・人生のあらゆるシーンに、
タイミングが悪いと、「生理用品一式」が付いて回ります(>_<)
グアムから帰国して最初の治療の日、彼女はにっこりして、
「結局、生理用品一式、持ってって持って帰ってきました。
なんか飛行機の中でしんどくで、絶対始まると思ったのに、全然だった。」
「要らん荷物で大変じゃったね〜治療の刺激で、却って遅れる事もあって、
それだけ治療効果が出てるとも言える。多少、量が多くなるかもだけど、
今度は、きっと楽だと思うよ。」
その後、2回の治療をして、3度目の治療日、
治療室に入ってきた彼女は、嬉しそうでした。、
「こないだの治療の4日後に生理来ました。いつもは、始まる前に、
もうお腹や腰が、痛くなってくるのに、全然何もなくて、すっと始まって、
えッ?始まった?って感じ。生理中もどこも痛くないし、量も普通でした。」
「夏の冷房の冷やし過ぎには気をつけてね。運動もした方がいいよ。」
「グアムの幼稚園では、なんかみんながのびのびと自由な感じで、
子供たちも活き活きしてました。日本とは全然雰囲気が違いました。」
それに比べると、最近の日本はちょっと色々とギスギスしてますね・・・
「子供は、国の宝」
その「宝」を育てる尊い仕事・・・頑張ってください!!
(’16.4)
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