中高年になると、朝起きて、ベッドから立ち上がり第1歩を踏み出した時、
足裏に激痛が走るという経験をする人が多くなってきます。
病院で診てもらうと、足底筋膜炎や足底腱膜炎と言われるこの状態は、
足の裏のかかとの骨と指の付け根をつないでいる筋膜が、
ところどころ硬くなって柔軟性が無くなり、
さらに使い続けていると、無理がかかって、ミクロの世界でですが、
微小な断裂が起き、痛みがでてくるものです。
スポーツにより足に過度の負担をかけた場合や、
靴をはいたままの立ち仕事や営業マン等の歩き仕事、
家事などで足裏に疲労が溜まり過ぎた場合、
また、運動不足や加齢により、腿の裏(ハムストリングス)やふくらはぎの、
筋力低下や、足の裏のアーチが扁平になっているなど、
さまざまな原因が重なっていることが多く、現代病のひとつと言えます。
彼女も、治療室に入ってくる時、少しびっこをひいていました。
神戸から引っ越してきて、当クリニック近くのマンションに、
住んでいるという彼女。
この辺りはマンションが多く、スーパーが何店か点在しているのですが、
「どうも無い時は、けっこうあちこち歩き回って平気だったのに、
この半年ほどは、痛くて歩き辛いことが多くて・・・
でも、買い物に行かないわけにはいかないしね。
病院では、足底筋膜炎と言われて湿布をもらったけど・・・」
診てみると、右足裏の内側が硬くしこりになっていて抑えると圧痛があり、
内くるぶしの周辺まで炎症が及んでポヨンと腫れています。、
こういう場合、病院では必ず冷やす湿布が出ますが、
当クリニックでは、基本的に温めて血行を促進する治療を行います。
足裏が痛いのを無理して歩いている為、「最近は膝まで痛いんです。」
まず、膝とふくらはぎの治療をして、足裏は温灸器によるお灸中心。
刺さないタイプの鍼で微調整後、パッチを貼って終了です。
「実は、5日後からハワイに行くんですよ。」
「あら、いいですねぇ〜それじゃあ、ちゃんと行ってこれるようにしないとね。
明日また来てください。」
翌日、入室時には、前日ほどのびっこではありませんでした。
「昨日の治療後はまだ痛くて、あまり変わんないかなと思ったけど、
今日午前中、イオンの中を歩き回って買い物して帰ってきて、
一服してからここへ来たけど、そんなでもなかった。」
昨日、圧痛のあった部位を抑えても、「あ、本当だ、あんまり痛くない。」
日程の都合で、ハワイから帰国後しか来院できないので、
治療後、パッチを沢山貼って、「くれぐれも足を冷やさないように、
気を付けて行ってきてくださいね。」
次の来院は、2週間後でした。
入室の足取りはと、ちょっと心配だったのですが、スタスタと入室。
「無事、行って帰りました。向こうでは、歩いた、歩いた、すごく歩いた!」
「主人と一緒に行ったんだけど、私、主人に痛い痛いって言いたくないの。
そばで痛い痛いって言われたら面白くないでしょう?
だから、いつも痛くても黙ってじっと我慢してるんだけど、
それは結構辛いのよね。今回は、そうじゃなかったんで助かりました。」
「それはよかった!楽しかったですか?」
「楽しかった!私、ハワイがもう大好きで、毎年の様に行ってるんだけど、
何度行っても飽きないの。」
そうみたいですよね〜
私は、ハワイにはまだ行ったことがないので解りませんが、
患者さんには、「ハワイ最高!!」と、大絶賛される方が多いです。
芸能人が、お正月休みに皆ハワイに行くのもよく話題になりますが、
どこでも日本語がほぼ通じる気楽さと、楽園のような解放感が、
日本人に受ける秘密なのでしょうね。
それと、湿度が少ないその気候が、痛みを緩和するので、
精神的な解放感と相まって、ハワイでは体調が良かったという日本人は、
非常に多いのです。
「日本に帰った途端に、また痛くなってきた。」ということも・・・
でも彼女は、「3日前の夜遅く帰ってきて、昨日なんかも買い出しに行って、
歩き回ったけど大丈夫でした。」
その後、お孫さんの幼稚園のイベントなどで動き回ったりしても、
痛みが無くなってきたので、治療回数を1週とばしにし、
全部で8回の治療で一応終了としました。
ただし、足底の筋力不足があるかぎり、また痛くなる可能性は大きいし、
年々、若返るわけではないので、
足を冷やさないことと、足裏のストレッチを欠かさないようにして、
「またもし痛くなったら、早めに来てくださいね。」
「私、ハワイに居ても、まるで現地の人間みたいに違和感が無いの。」
と、言うとおり、ハーフに見えるエキゾチックな顔立ちの彼女。
里帰りでもするみたいに、ハワイに、毎年「帰り」続けたいですよね。
(’16.7)
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