第11話  晴れの国おかやま伝説崩壊 本文へジャンプ
「晴れの国おかやま」
これは、ここ数年、岡山県民が誇りに思ってきた、
岡山をPRするキャッチコピーです。
年間を通じて雨が少ない為、昨今では映画のロケ地としての利用が増え、
「8年越しの花嫁」を始め、数多くの映画のワンシーンに岡山の街が、
映し出されています。
倉敷美観地区などは、今まで数えきれない程のドラマに登場しています。
その上、地震も少なく台風もあまり来ない、災害の少ない住みやすい街として、
移住者も増えています。
実際、当クリニックに来院されている患者さんの中には、
長年、転勤族で各地を転々としてきて、ご主人の定年後、
岡山の地を「終の棲家」に選んで、悠々自適に過ごしておられる方もあります。
皆さん異口同音に言われるのは、「災害が少なくて、暑さも寒さもほどほどで、
冬はスキー場あり、夏は海あり、温泉あり、新幹線で関西へはすぐだし、
四国・九州への玄関口だし、果物や魚が美味しいし、
適度な都会さと田舎さで、住みやすい。」と。

しかし、岡山は災害が少ないという神話が、見事に崩壊してしまいました。
7月6日〜8日に西日本を襲った未曾有の豪雨災害は、
岡山も容赦してはくれませんでした。
大きな犠牲者を出した倉敷市真備を始め、岡山各地に今まで県民が、
経験したことが無いほどの甚大な被害をもたらしました。
連日、被災地の様子が報道され、犠牲者の数は、日を追う毎に増加。
実際に被災された方達は勿論、岡山県民皆が「晴れの国おかやま」の、
崩壊にショックを受け、従来からの危機意識の欠如を痛感しました。
今迄から、神戸や東北の震災を始め、日本各地のさまざまな災害に、
「大変じゃなあ、岡山は申し訳ない位、何も無くて有難い所じゃなあ。」
と、口々に言っていた自分達がこんなことになるなんて・・・

「岡山は災害が少なく、他人と助け合う必要が無いからか、
協調性が無く、自分本意な県民性だから、商売がしにくい土地。」と、
商売の世界では、昔からの通説だったようで、
確かに否定できない面は、ありました。
しかし、この度は、避難する際も皆で助け合いながら声を掛け合いながら、
また、復旧作業するにも、ボランティアの方々の手助けをいただきながら、
大勢で力を合わせなければ何も前に進まない状況で、
こんなデジタルな時代にもやはり、人と人との助け合いというアナログの、
如何に重要であるかが、身にしみて感じられます。
岡山県民も、この度、多くの事を学ばせていただきました。

災害が少ないはずの岡山でこんな甚大な被害が出るということは、
もう、日本列島全域でいつどこで何が起きても、「想定外」とか「未曾有」
等とは言えない時代になってきていると思った方がいいのでしょうね。
地球の温暖化が加速するにつれ、世界的に異常気象が増加しているのは、
事実であり、国際レベルで真剣に取り組まないといけないと、
テレビで専門家が言っていましたが、間に合うんでしょうか???

でも、とにかく前を向いて進んでいかなくてはいけません。
何も無かったかのように太陽は上り、被災地を容赦なく照りつけ、
また沈んでいきます。日一日と経過していきます。
悲しくても辛くても無残でも、今ここにずっと留まってはいられません。
とにかく前を向いて進んでいかなくてはいけません。

岡山以外にも、広島、愛媛など、14府県に及んだ被災地の皆さまのご健闘、
そして、200人を超す犠牲者の皆さまのご冥福を心よりお祈り致します。

頑張ろう!! 岡山!!
頑張ろう!!西日本!!

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