第29話  風の時代 本文へジャンプ
このところ、真冬並みに寒い数日と4月頃のような陽気の数日とが交錯する、
まことに体調管理の難しい状況が続いていますね。
全国的に感染者の数がめっきり減って、ワクチン接種も始まり、
ちょっとほっとできる反面、今後どういう展開になっていくのだろうと、
誰しもが不安を抱えたまま、季節は既に春へと向かっています。
多くの人が人生の転機を迎え移動する季節。
お花見やイベントが本来ならば目白押しの季節。
そしてなんと言っても今年は夏のオリンピックに向けて目まぐるしい準備が
始まる季節。
浮き浮きするような春風に乗って、これらの全てに盛り上がりたいと思っても、
ちょっと盛り上がり切れない私たちがいます。

占星術に詳しい患者さんから、産業革命の起こった200年前から脈々と
続いた「土の時代」が昨年末に終わりを告げ、「風の時代」が到来していて、
それは今後200年続くのだと、聞きました。
「土の時代」には、人々は形ある物やお金を追い求め執着し、
そのためにさまざまな技術が進歩し経済が発展し、大量生産、大量消費、
挙句の果てに、改善しがたい環境破壊を招いてしまいました。
今までは、固定概念に固執し、自分に与えられたフィールドにじっと居て、
そこで一生懸命頑張って、豊かさを得るのが当たり前でしたが、
「風の時代」は、もっと流動的にもっと柔軟に、要らないものを捨てて、
固定的な価値観に捕らわれず、臨機応変に対応していく時代なのだそうです。
コロナ禍が、その時代の切り替わりのタイミングで発生し、
会社に出勤して仕事をする、学校へ登校して授業を受ける当たり前から
テレワークやリモート授業へ、そして臨機応変にそれを使い分けるように。
物や場所、今まで自分が当たり前と思っていた事に捕らわれずに
生活することが求められましたよね。
このように、「風の時代」は目に見える物よりも、知識や情報、
伝達や教育など、目に見えないものが重要になり、
「持つ」よりも「知る」ことに価値がある、要らない物は持たない、
物に執着しない時代ということのようです。

こういった概念は、もともと仏教の教えにあるものですし、
日本人には理解しやすいかもしれませんね。
東洋医学の考え方にも通じるものがあリます。
教科書的な固定概念に捕らわれず、その患者さんのその時の状態を、
その都度触診して治療していく流動的な治療と言え、そのために、
科学的な「再現性」が無く、エビデンスが乏しいと言われる所以では
あるのですが。

それにしても、第24話でご紹介した岡山が誇る「藤井風」君は、
「風の時代」の申し子のようで、彼の楽曲の「帰ろう」の中にある、
「一つ一つ荷物手放そう」という歌詞は、まさに「風の時代」の概念
そのもののようですね。

「風の時代」にふさわしく、コロナ禍にあっても柔軟に臨機応変に、
風の流れの如く対応していきたいものです。

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