第25話  「やる気が出ない」に鍼灸治療 本文へジャンプ
「なんかだるい、頭がすっきりしない、やる気が出ない」
こういう訴えの患者さんが最近多く来院されるのは、
当クリニックだけの傾向ではないと思います。
今年はコロナ禍によって行動を制限され、負の非日常を強いられ、
本来当然守られるべきQOLが著しく低下した人が多かったですね。
そのうえ、自粛生活による運動不足で、代謝が落ち、筋力が落ち、
そうなると疲れやすくなり、身体がだるくなり、何をするのも億劫になります。
その悪循環にさらに追い打ちをかけたのが、今年の異常気象です。
長引いた梅雨がやっと明けたと思ったら、すぐに記録的な暑さの夏が訪れ、
台風通過の後にいきなり朝晩寒いくらいになり・・・
これでは自律神経も乱れてしまい、さらに体調が悪化してしまいます。

でも、鍼灸治療を受けて帰る患者さんは、異口同音に、
「あぁ〜なんか頭がすっきりして体が軽くなりました〜」と言われます。
そして、次回来院時には、「先生、やる気が出てきてちょっと色々行動し
始めました。」と嬉しそうに言われると、私も嬉しくなります。

鍼灸治療の明確なエビデンスはいまだ確立されてはいませんが、
全身の血流が良くなり代謝が上がると言われており、
脳内物質で有名な、ドーパミンやセロトニンの分泌を促進するとの、
学会報告も多数見られます。
患者さん達のやる気が出るのも頷けるというものです。
本人の脳から本来分泌されるべき量の物質がさまざまな要因で阻害され、
不足している状態にツンツンと鍼灸治療で刺激し、正常に戻すので、
副作用も弊害も無く、安心安全と言えます。
ただ、外から入れるお薬ほどの強い作用は無いので、
「軽いうつ傾向」の時にタイミングよく治療するのが最適です。

鍼灸治療でやる気が出てきた患者さんに、私が必ず勧めるのが、
適度な運動です。
せっかく治療でやる気が出てきたのに、運動せずにゴロゴロしていては、
元の木阿弥です。
運動して筋力アップし代謝促進を維持することで、
さらにやる気が出てきます。
こう言うと、真面目な人ほど、いきなりスクワット50回したとか、
いきなり1時間以上歩いたとか言って、膝や腰を傷める傾向があるので、
「こんなんで効果あるの?」という程度から軽く始めて、徐々に、
記録を伸ばしていってね、と言っています。

コロナに加えインフルエンザや普通の風邪などに気を付けながら
過ごさないといけない冬がもうすぐそこにやってきています。
免疫力も上げると言われている鍼灸治療と適度な運動で、
この冬を乗り切っていきたいですね。

 治療室の小窓〜徒然なるままに〜トップへ