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               子育てをしたことがある人であれば、わけもなく赤ちゃんが泣き続けて、 
              正直、参ってしまう経験が一度も無い人は、殆どいらっしゃらないと思います。 
               
              おなかは満たされているし、おむつもさっき換えたばかり。 
              抱っこをしていれば、安心したように、すやすやと眠っているのに、 
              そぉーっとお布団に降ろすと途端にまた、ギャ―ギャー。 
              この、わけもなくヒステリックに泣くのを、一般的に「疳むし」と言います。 
              日中のお母さんは、用事がいっぱい。 
              お掃除、お洗濯、、お買いもの、夕方には夕飯の支度もしなくてはいけない。 
              赤ちゃんにばかりかまけてはいられません。 
              「もう!何が気に入らんのよ?」 
              腹も立ってきますよね・・・ 
              これが、夜泣きとなると、さらにお母さんを消耗させてしまいます。 
              そうでなくても、授乳のために、一晩に何度も起きて疲れているお母さん。 
              ギャ―ギャー泣いて眠ってくれないと、次第に神経がすり減ってきます。 
              「泣きやまない。」という理由で、我が子を手にかけてしまうお母さんがいますが、 
              本当に追いつめられると、手にかけるか、かけないかは、 
              「紙一重」だと思います。 
               
              そんな時に、「小児鍼」がおすすめです。 
              詳しいことは、「キッズとベビーのタッチセラピー」のページで紹介していますが、 
              大人にする鍼治療の論理に基づいて、子供向けに行う手技で、 
              鍼を刺入せずに、皮膚表面を優しく刺激することで、 
              充分な治療効果が期待できるものです。 
               
              桜が散り始めたある日、一人のお母さんから電話がありました。 
              「1歳3カ月の双子が居るんですが、決まって夜中に一人が、 
              ギャーギャー泣き始め、そうすると、もう一人が釣られるように泣きだし、 
              収拾がつかなくなるんです。もう、私も主人も参っちゃって。」 
              相当、ストレスが溜まっているようです。 
              早速、双子ちゃんを連れて来ていただきましたが、 
              泣き始めるのは、いつも、Aちゃんということなので、 
              今日は、Aちゃんの治療のみで、 
              Bちゃんは、お母さんに抱っこされて、じっと見つめています。 
              最初は、警戒している様子だったAちゃんは、皮膚を刺激される心地よさに、 
              次第に打ち解けてきました。 
              私の手を触ってきたり、片言でおしゃべりしてくれたり。 
              温灸器によるお灸も、熱くなく、安全で、 
              「お灸が気持ちよさそうですね。」と、お母さんも、満足げ。 
              治療が終わったら、バイバイと、手を振って、御機嫌さんで帰って行きました。 
               
              翌日来院してきた時、お母さんの表情が全然違うのを見て、 
              私の顔も思わずほころびました。 
              「昨夜は、おっぱいで起きた以外、ギャーギャー泣くことなくよく寝ました。 
              Aが泣かなかったら、Bも全然泣かず、ぐっすり寝てくれて。 
              やっぱり、Bは、Aの泣き声に起こされてたんですね。 
              あの毎晩、毎晩、地獄のようだったのが嘘みたいな。」 
               
              当クリニックの小児鍼の治療は、4回が1クールで、軽い夜泣き・疳むしは、 
              ほとんど1クールで改善します。 
              治療3回目から4回目までの間を1週間空けてみて、 
              1度の夜泣きも無かったので、終了です。 
              「また、泣くようだったら、いつでも連れてきてね。Aちゃんの治療だけで解決して 
              よかったよね。」 
              双子ちゃんは、成長と共に次第に変わってきますが、乳幼児期は連動して、 
              泣いたり体調を崩したりも大体一緒になることが多いものです。 
              「大変さも倍だけど、喜びや可愛さも、倍だからね。 
              このお母さんに育ててほしいな、と 
              二つの魂からオファーを受けたんだから、きっと“お母さん力”が倍あるんよ。 
              自信持って!!」 
              私が背中をポンとたたいて、お母さんが「ハイ!」と元気よく答えると、 
              Aちゃんが、お母さんの腕をポンとたたいて、「ハイ!」 
              すると、Bちゃんが同じようにお母さんの腕をポンとたたいて「ハイ!」 
               
              本当に、可愛さも倍ですネ。                     
               (’14.5) 
               
               
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